・たたみヤケの怪
デニムジーンズの場合、季節商品というよりは、年間を通して展開する性格のものがほとんどなので、入荷してから3カ月も6カ月も、ひどい場合は2年くらい棚に残っている間の悪いヤツというか、落語の居残り佐平次みたいなジーンズが出てくるのですが、返品の少ない専門店などは特に注意していないと、気が付いたら棚の横一列全部TたたみヤケUしていたなんてこともありえない話ではないのです。
TたたみヤケUを実際に見たことが無い人もいらっしゃるかもしれませんが、ジーンズをたたんで重ね置きした状態で、生地が折れた部分など、目に見えている所だけ色が褪色する事をT色ヤケUTたたみヤケUと言います。
これを未然に防ごうとすると、折れるポイントがずれるように常にたたみ直しているか、透明の袋にでも入れたままたたむか、吊しにするか、そんな事ぐらいしか方法はないようです。
ただし、たたみヤケを起こすジーンズはだいたい決まっていて、これはもうメーカーを問わず、インディゴを強く落とした、フェイドブルー、ユーズドウォッシュ、アイスウォッシュなどと言われる色味のデニムです。
つまり、糊だけ落としたような色の濃いジーンズはほとんど大丈夫なんですね。
で、ここからは、人から聞いた話と私の経験とを合わせた、全くの想像の域を出ない仮説なんですが、まず、インディゴはそう簡単にはヤケない染料だと思います。なぜならT干すときは日陰干しでUという一般論を無視してよく平気でベランダの手すりに掛けたりして干してましたが、それで色がすごく褪せたような記憶は今のところないのです。
実はうすく明るい色のジーンズがよくヤケるのは、ウォッシュで使われる薬品に原因があるということは、メーカーのある営業さんから聞いた話なので間違いはないでしょう。
そしてヤケというイメージだとなんとなく日光とか、光に含まれる紫外線などで褪色しているようですが、空気による酸化というのが真相のようです。
例えば通風口の近くのジーンズがみるみるヤケた。という話を聞いたこともあります。
つまり容疑の疑いが強い順に並べると「薬品」+「空気」,「光」+「インディゴ」というところでしょうか。
ちなみにヤケのあるジーンズを洗うと、ヤケが目立たなくなったり、時には消えたりすることもあります。意外にも。
ということは、空気で酸化していた何物かの物質が洗濯することで落ちて、元の発色が戻ったということなのかな。これ以上はよくわかりませんが、専門家の人に、そのうち御意見を伺うこともあるでしょう。
薬品がなぜ残るかはわかりませんが、普通に私たちが使っている洗剤でも、意外に多く生地に残っているようです。
筆者はコーヒーが好きで、家ではペーパードリップでよく飲んでいるのですが、ずいぶん前の事、ある時いつものようにお湯を沸かしていたところ、ペーパーフィルターが切れているのに気がついた。
わざわざ買いにいくのもおっくうだなと思っていると、ふと捨てようと思っていたホワイトジーンズが目に入って、次の瞬間はもうハサミを探していましたね。
洗濯済みのジーンズだったのですが、一応念入りに水洗いをしていざ抽出。出来たコーヒーを口に含んだ瞬間、洗剤のしつこさを思い知ったのでありました。
今思い出せば、毒入りウーロン茶もさぞや、と思うような味でしょうか。
なお、蛍光剤というものが必ず残留するようになっている事は、ずっと後で知りました。