国産オールドジーンズに詳しい、くらもちさんという方がキャントンジーンズとエドウィンの初期モデルについて寄稿して下さいました。

国産オールドジーンズについて

  by くらもち


キャントン

キャントンは1963年に大石貿易という会社によって発売されました。
米国キャントンミルズ社の自耳付きデニム生地を使用しており、ゴリゴリとした手触りと極上の縦落ちが味わえます。また、特微として生地裏に「CANTON」のプリントが入っている・・が、入っていない製品もあり、その違いの確固たる理由は判明していません。ジッパーは「グリッパー」「スコービル」「タロン」の順に使用されています。

このキャントンと同時期に「ソルティードッグ」というジーンズも大石貿易は販売していました。その生地裏にも「犬」の絵と「SOLTY DOG」というプリントがありました。

その後1965年頃、大石貿易と米国キャントンミルズ社とのブランド名使用科の問題により、両社の契約は破棄となります。そして大石貿易は、米国コーンミルズ杜のデニムを使用した「ビッグストーン(日訳:大石)」を発売するのです。
私は試作品のビッグストーンを所有していますが、製品版とは異なった、かなりすぱらしい生地(XXデニム防縮加工無し)を使用しています。なぜ、製品版では同じコーンミルズ社製品なのに違う生地になったのかは、わかりません。

キャントン・エックスウエスト

一方、キャントンブランドを取得した会杜が発売したのが「CANTON・X-WEST」です。ですから,私は大石貿易のキャントンを「初期型」エックスウェストを「後期型」と呼んでいます。

発完当初の製品には耳が付いており、ジッパーも「グリッパー」だったりします。が、この「X−WEST」にはトップボタン等にすさまじい種類が存在し、なんやらよくわからない製品です。色落ちはグレーがかった何とも言えない「これ、インディゴ染めなの?」風の物です。

あと、重要な点として「耳」があります。初期型はごつごつした「白耳」が片方だけ(場合によるが両耳)付いています。後期型は初期ロットにはたまに柔らかい「黄色」耳が付いています。これも適当に作っていた時代の名残ですね。


1990年より、大石貿易は「キャントン」の登録商標を取り、自ら復刻版として販売しています。でも生地は国産品でそれに生地裏プリントをしています。
だから別物です。パッチの図柄が全く違いますので区別できます。
しばらく前には大石貿易から「21オンス」のウルトラヘビーオンスデニム使用のキャントンが出ていました。バイクで転んでも破けないそうですが、縫製用のミシンが壊れてしまい大量には生産していないそうです。

ビッグストーン

さて、試作品の後、発売となった「ビッグストーン前期モデル」。この「前期モデル」は、トップボタンが銀色、ステッチが黄色、バックポケットのステッチがシングル(リーパイスの66の見会け方と同じ)というのが特徴。
これまた、縦落ちのシャープな良い色に落ちます。

「後期モデル」は、トップポタンが銅色、ステッチがオレンジ、バックポケットのステッチがダブルという特徴があり、ジッパーは「タロン」が多かったりします。あまり良い縦落ちにならないような気がしますが…。

その後、大石貿易はこの「ビッグストーン」をスーパーなどで廃価で販売したため、古いジーパン屋のおやじに聞くと「安物イメージで売れなかったな〜」という感想を項くことになります。


年代ですが,初期型キャントンが1963年から1966年ころまで,後期型は1966年からおおむね1970年代です。
初期型ビッグストーンは1965年ころから1969年ころまでです。

さて余談ですが、この2ブランドとも3rdモデルのGジャンが存在します。しかも「ビッグストーン」には前期・後期両方存在するのは当然のことですが「キャントン(X-WESTじやない)」にも、大きなパッチの付いたモデルと、小さなタグだけのモデルの2通り存在します。何とも不思議なもんです。

チャート


エドウィン 359BFと1001

大御所エドウィンですが、1965年頃、最近復刻された「359BF」を発売しました。16オンスという重さで「洗濯機の中で立っている」と巷では噂でした。
しかし、そんなゴワゴワ・浅股のジーパンが爆発的に売れるわけもなく次期モデル「1001」がすぐに発売されたのでした。ちなみに、「359BF」は有名な七色耳、「l001」はオレンジ耳の付いた製品が多いです。

Gジャンも発売されていましたが、裾・袖にも耳が付いていたりします。「1001」は非常に縦落ちします。特に、残り30パーセント位になったときに本領を発揮します。
ジッパーですが、「タロン」が多いように感じられます。当時結構売れたため、なかなかデットでは残ってないと思います。が、たまに見つけると、なぜかウエストが一律32インチなんです。 私の知っている人が、何年か前に沖縄県のつぶれたジーパン屋でこの「エドウィン1001・32インチ」を大量に発掘したので、そのせいでしょうか…。

以上のように、書き連ねてきましたが、まだまだ国産ジーンズは地方に眠っています。興味を持った方は、近所のフリマに、まめに顔をを出してみれば、結構、変なモデルを発見できますよ。



・・・以下はくらもちさんとの一問一答です・・・

「キャントンに関しては、コレクターズアイテムとして見ると、やはり初期型が一番ということでしょうか?」

「素材の良さ、色落ち、穿き心地、それに国産第一号の味わい、入手困難さ等を考えますと、一番でしょう」

「実際、ヴィンテージものをあつかうショップでは、今、大石貿易等のユーズド、デッドはだいたいどのくらいの値段なんですか?」

「一概には言えませんが、「キャントン X-WEST」であれば、デットでも7〜8千円ではないでしょうか。ビッグストーンはユーズドでそれ位します。なによりも、フリマで地道に探すのが一番安価に入手できる方法でしょう」

「実は手元のカタログで“エドウィン 359BF・復刻版”を見ると、1963年となってるんですが、何かちがうんですか?・・それともハッタリ?(笑)」

「これは私も知っていました。1963年とメーカーがいっているからそうなんだ。と、思いがちですが、1963年は、まだコットン輸入が規制されていたはず(?)。だから、南米産なのでしょう。・・・誤解があるといけませんが、359BFにもすごく種類があるんですよ。私が言う「359BF」はまさにカタログに載っている「型」なんです。パッチの形・インナータブ(PAT・RESISTEDのやつ)があのカタログと同じになったのは発売数年後で、1963年発売当初の物とは違うんですよ。たぶん。発売当初の物は「EDWIN WESTERN JEANS」と書いてあるパッチだし、インナータブも「EDWIN」と青地に白書きです。これを1963年モデルとすると、カタログモデルが同じ1963年発売モデルと説明するのはきついでしょう。1年以内にモデルを変えるのはコットンが自由にならない当時では無理なのでは?ですから、わたしは皆さんの知っている「カタログ359BF」は1965年頃の発売だと、勝手に思っています」

「私もこのあたりの古いジーンズは好きですけど、実際のところ、そんなに今後ブレイクするような事にはならないんじゃないかと思うんです。理由は二つあって、まず、絶対量の物が少なくて、市場で取引のしようがない・・ショップがそろえようとしても物がない・・みたいな、そんな程度じゃないかと、、もうひとつは、当時のジーンズはだいたいタイトなカットですから、今のジーンズ好きの若い人は、手に入れても穿きこなせないんじゃないかなと・・。これについては?」

「そのとおりだと私も思います。国産ジーンズの生産量は皆さんが思っているよりも多いんです。が、日本人はリサイクルを知らない(知らなかった)から、どんどん燃やしてしまったのです。ですから現在の残存数が少ないのです。あと、取り扱っている業者も少ないという理由もあるでしょう。・・2番目についてですが、確かにタイトというか「なんじゃ?」という穿き心地の物があるのは確かです。でも、だからこそ、良い色落ちをした物が多いんです。その辺を理解できれば、少しは人気が出るのかな?と、思います。でも、いまのレプリカジーンズは本当に良くできてますよね。これじゃ、国産がいくら良いよといっても駄目ですよね!(笑)」

「地方のジーンズ屋さんで一番、遠出したのは何処ですか?」

「新潟県奥只見地方です。(車で6時間位だったかな?)。収穫は、まずまずだったような・・・」

「最近、入手出来た国産ものでTこれはいいUと思ったものは何かあります? またTこれは宝物!Uといえる、お持ちの国産ものはなんですか?」

「TこれはいいUと思った物は、前述しましたが「ビッグストーン試作品」です。生地はまさに「コーンミルズXX」です。Tこれは宝物Uというのは「エドウィンBFジャンパー(Gジャン)のコマーシャルモデル」です。要は、Gジャンの背中に絵が描いてあるやつです。しかも、デッドストックなのでなかなか無いはずです」




くらもちさん、ありがとうございました。
以上、ここまでの内容についての感想等は、直接くらもちさん[kura-h@mba.sphere.ne.jp]へメールして下さい。

なにか御質問のある方・こんなことを知っているという方は私までメールを下さい。預張って(遅れるときも多々ありますが)返事を書かせていただきます。

・・・とのことです。



ということで、改めてたまたま持っていた自分のキャントンを見直してみたわけですが、でかでかとX・WESTパッチがあるので要は大石貿易とは関係のないキャントンだったわけですね。
しかしながら、くらもちさんの言うようなグレーという感じはどうも無いんで、その辺はやはりいろいろ生地があったんでしょう。ちなみにジッパーはスコービルで、これはくらもちさんの話ではそこそこ珍しいんだそうです。ナルホド。

しかし、すごいなあ。精力的に探しまわってるって感じですね。
誤解されそうですが、この方、アメリカンジーンズはもちろん、スニーカーもと、けっこう幅広く集めてらっしゃるようです。

359bf

カタログにある、復刻版の359BF

ちゃんとレインボーセルビッジも再現しているらしい。
いまどき、珍しいタイトカットなので(これはけっこう本気だな)と思って見ていたのだが、くらもちさんに言わせると
「染め方がちょっと本物と違うような気がします。形ははきやすく変身しています。デッドなら数万円はします」
だそう…。
まあ、勢いのある会社は、儲かりそうもない事にもどんどん手を出してほしいです。



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