Bell-bottoms "Squeezer"

オリジナルを作るということ...

我がプチ・ブランド "citron" ではベルボトム・ジーンズ "Squeezer"(スクイーザー)の予約を始めました。いったいどんなジーンズかといったところはcitronのページを見ていただくとして、ここでは、製作過程の少しぶっちゃけた内容を紹介します。
ベルボトム・ジーンズやオリジナル・ジーンズに興味の無い方でも、けっこう面白く読めるのではと…、また今後何か自分でこういったことにチャレンジする時の参考になるやもしれませんから。


5月
股の浅いベルボトム知らないか?というメールが2通たてつづけに届く。
ふーん、巷ではまた流行ってるのか?
でも、都内では女子しか見かけないが・・・。ああ、でも無いなら穿けないよなあ。

5月某日
A社KさんとJ-One関係で電話するが、ベルボの話題に…「パターンとパッチがなんとかなれば…。サンプル作ってみる?」「やってもらえます?」「いつでもいいなら」
よっしゃああ。ベルボじゃ!ベルボじゃ!

その晩
仕様書作り。手持ちの古い国産ベルボトムをつぶさに観察して、おいしいところをもらう。特徴的なチープ仕様は押さえる。オリジナルなアイディアも次々に閃いた。パッチもその場で出来上がってしまったので一晩で仕様書完成。
こんなに簡単にオリジナルが出来ていいのか?J-Oneの苦しさとは比較にならない。

5月某日
型紙サンプル用に某国産ベルボトムと共に仕様書を発送する。
パターンおこし代が気になる。

6月某日
A社Kさんへ「出来そうですか?」「忙しいので、しばらく無理」仕方ない…。

7月某日
J-Oneにはオリジナルパッチを付けることにしたため、できたデザインでパッチを作ってもらうべく業者へ直に頼む事にする。同時にベルボ用パッチも手配するか・・とネーム・パッチの専門会社B社へ電話する。そこでJ-One用に予定していたマルRピスネームの在庫が無いことが発覚! えーい、そんならオリジナルのピスネームも作ってまえ!

数日後
B社担当Kさんから送ったデザインのエッジがぼけてて使えないと連絡が入る。
ウェブ用の絵のクセで低解像度にアンチエイリアスをかけた結果である。
「イラストレータで作って欲しいんですけど」「すみません、持ってないんで…」
後日、なんとか修正版をFAXで送る

7月某日
A社から最初のサンプルが送ったジーンズと一緒に届く。
生地はとりあえずシングル幅ならなんでもいと言っておいたら、ざっくり系のよさげなデニム。いくつか仕様書とは違いもあるが、それは次回でいいか…。にしても小さい。
見本のジーンズがそもそも小さかったのがいけないのだが。

翌日
B社から「革パッチの版は、まだいまいちダメです」コール。その日のうちに、高解像度のTこれでどうだ版Uを送る。

また翌日
最小サイズだったためグレーディングされた時の腰位置等の特徴がどうなるか気になる。
A社へパタンナーさんへ聞いてみてほしいと電話するが、またも忙しそうで、アテにならない感じ。しかしよく考えたらグレーディング前に答えられるわけがない。

8月末
シトロン・ジーンズのページを開く。もちろんメインはやっとできたJ-One..

9月某日
すでにJ-0neの紙パッチ、共用ピスネームは揃っていたのにベルボトム用の革パッチだけ、何故が届かないのでB社へ電話する。と、「革はヤンピーでしたっけ?柔らかいですけど…」「そうです、あ、ちょっとまって下さい」急にごつい系パッチにしたくなる「牛だと厚めなんですよね」「そうですね」「すみません、牛にします」

9月某日
未洗いのままだったサンプルを写真撮りしてから洗う。未防縮だったので見事に縮んで小学生サイズに。
ジッパーの波打ちがやっぱりというか予想以上というか、良くない。
糸がZ-1ベースもちょっと選択を誤った感じ。
その日さっそく、変更仕様を書く。

9月某日
ページにベルボトム・Squeezerサンプル画像とアンケートフォームを置く。

9月某日
A社に前日届いていた革パッチとピスネームを送る。

10月某日
新宿の洋裁専門店でボディーを物色。
これがあったら、苦労なくスタイルチェックできるのに・・・予算がない。

11月某日
3サイズアップのグレーディング、防縮デニムになったサンプル届く。あちこち測って洗ってみると意外に縮む。が、さすがにC社のストラクチャーミミ付きだけのことはあると言う感じのよい手触り。穿くと期待通り浅い。イケてるじゃん。

翌日
アンケートを送ってくれた、好感触の3人にサイズを訊ねるメールを書く。穿けそうな人に穿いてもらおう。
同時にサードサンプルへの変更仕様を書く。

12月某日
裾幅が急に気になる。サイズが大きくなれば裾も広くなる。際限なく広くていいのか?
ベルボ好きのNさんにコレクションのものを測ってもらうようお願いメールを出す。
同日、穿けそうな人、宮崎県のMさんにサンプル発送。
2日後、MさんNさんから貴重なデータ。感謝。

12月某日
忘れていた!中河内ベルボトム愛好会
一応メールしてみようと、さっそくタイピング。

翌日
忘れていた!国産博士のくらもちさん
さっそくタイピング。

先日(12/9)
A社から電話
「今作ったんですけどね」「あっ、早いですね!」「これ、パーメックスでしたよね」「そうです...」「すみません、穴空けちゃいました」ガーン…。
巷ではまた流行ってるのか?
最近やっと定番アイテムになったベルボトムだが、渋カジブームの時に都内で局地的に男のベルボトムが流行った。もちろんモノがないので古着、デッドが高騰した。それをマトモにとった某メーカーは自社のベルボを復活、急きょ投入するが、悲惨!ほとんど余剰在庫に...。以後業界はメンズのフレアーには慎重になる。

A社
小回りの効く縫製やさんらしく、メーカーのサンプル依頼が多いらしい。
向こうから見れば「ヤバいヒッチハイカー乗せちゃったな」というとこか。

J-One
ジーンズキットJ-One. 未知のものは大変です。こっちのストーリーのほうが面白いのだが、ブレイクというオチがほしい。来年は大人サイズも考えてるので、よろしくね。

チープ仕様
バックヨーク無し、リベットなし、全パッチポケ、のチープ3仕様。
日本メーカーがジーンズを大衆化する過程であみ出した伝統仕様だ。筆者は勝手に「オリエンタル・オーセンティック」と名付けている。独特の雰囲気は捨てがたい。

オリジナルなアイディア
レディースのソレとは差別化することと、遊び心を重視したつもり。
やはり縫製等の知識が若干あったので、出来る出来ないの範囲で苦労が無かったのは幸い。

こんなに簡単にオリジナルが
出来るわけがない。普通は材料全てをメーカー(発注者)が手配しなければならない。生地も早期に押さえておくもの・・が、この時点で先送りしている。しかし当時は秋には完成するだろうと思っていた。

マルRピスネーム
○にRのレジステッドマークのみの赤のピスネーム(タブ)はレプリカ・ジーンズでは重宝がられている。商標を侵害することなく手軽にヴィンテージ雰囲気が出せるから。

FAXで送る
B社はなぜがメールは読んでくれるのに、返事はFAX... ではこっちもFAXで...

シングル幅
シャトル織機でのんびり織ったもの。幅が80センチ程度しかない。両端にミミが付く。
対する倍幅は140〜200センチ。実はこっちにもミミは付けられるらしい。




グレーディング
基本のパターンが出来たら、各サイズに拡大、縮小すること。サイズ展開幅が広いと、32インチあたりで区切って基本パターンを2種類作ったりする。
ジーンズを構成するパーツの数=型紙数で料金が変わるらしい。よってSqueezerは「オリエンタル・オーセンティック」なので安上がり。ラッキー。

ヤンピー
羊革。ちょっと縮んで、それがいい。という人も...


ジッパーの波打ち
ジッパーは縮まない防縮デニムの開発で可能になった。であるから、ジッパーなら防縮デニムが定石だが、股上の浅いSqueezerはジッパーも短い。そこで意外に気にならないかと思ったが…。

糸がZ-1
烏城物産の定番レプリカ綿糸"UJシリーズ"は、ヴィンテージものには欠かせないらしい。
Z-1は俗にバナナイエローと言っている黄緑色の糸。ちなみに日本ではアメリカより20年くらい後まで綿糸が使われていたよう。

ボディー
人台。服のパターン作りには欠かせない、人のカタチをしたヤツ。年齢別、サイズ別、用途別にいろいろある。

C社のストラクチャーミミ付き
マジに生地を選ぶなら、専門商社で買い付けるしかない。そんなコネクションは今のところ無いので、A社に希望を伝えて、最善のものを選んでもらうしかなかった。
C社はデニムの大手メーカーらしい。ストラクチャーとは経糸に複数の太さの糸を使ったものでタテオチ感が強く出る。低価格のストラクチャーは品のない雨降り状態になるが、そこはムラ糸、深染め、シャトル機というヴィンテージ3仕様なので、そうはならない。タテオチに定評あるレプリカものはストラクチャーとみて間違いない。

期待通り浅い
腰の骨に被さるようなベルト位置は、すばらしい。しかしベルトの穴が不足するという事態。




中河内ベルボトム愛好会
実態は解らない、が、春ころのメールはいつもアツかった。今もアツイに違いない。

くらもちさん
何をやってる人か解らない、が、本ページコラムを読んでの通り、めちゃ詳しい。そしてこだわりも人一倍。見せない手はない。

パーメックス
金具メーカー・スコービルでいうところのデカいスナップボタン。Squeezerではトップボタンに…。古いアメリカン・ジーンズにも一部にあった仕様。


・・・ということで、無事ベルトを付け替えて事なきを得たサードサンプル(ほぼ最終形)も上がりました。

あえて言いますと、これホントにカッコイイです。
もちろん好き好みの問題はあります、が、こういったスタイルでここまでハイグレードな仕様というのはまず無いです。ホント。
ですから、ベルボファンは是非お試しあれ。出来ればSqueezer用に極太のベルトを用意してもらえるといいですね。パーフェクト!
難を言えば、これからだとヘソあたりが寒いかも知れないですが、そこは気合いです。ピーコも「ファッションは我慢なのよ!」と言ってましたから…。

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