人間35年もやっていると、何かのはずみでいろんな芸が身に付いたりするもんですが、たとえばパソコンを買って、いじっていたらホームページの開設方法を覚えたとか……。(笑)

で、もう7〜8年前になりますが、ある人から「一回しか使わなかったけど、あげる」
…と、もらってしまったのが、商品名「Tシャツ君」という、シルクスクリーンでTシャツにプリントをするキットだったのです。
もともと工作ゴトの好きな性分なので、もうすっかりハマリました。
以来、市販のプリントTシャツはほとんど買わなくなって、買うのは白、黒、黄色、ネイビー、といった無地のシャツばかり。

さすがにここ2〜3年はこの趣味も飽きて来ましたが、テクニック的には多少レクチャー出来るレベルになってるハズなので、シルクスクリーンの概略から実際に版を作ってプリントするまでを、夏が終わる前までには終わらせるように連載したいと思います。
今、何故シルクスクリーンか?

これを読んでいる人はほぼパソコンユーザーのハズですから、当然「アイロンプリントとどう違うのか?」という疑問を抱く人もいるでしょう。

プリンターで簡単にフルカラーのプリントが出来てしまう専用の転写紙は確かに便利で、筆者自身もお世話になってます。
一方、シルクスクリーンときたら、小さな印刷所を開設するような物々しい装備の中でインクで手を汚しながらやらないといけません。しかも私らアマチュアではいいとこ3色刷りぐらいがせいぜいという大変さ……。

しかし、フルカラーならインパクトのあるカッコイイTシャツが出来るか?というものではない。
ナイキのスウォッシュマークにしろキース・ヘリングにしろ、インパクトのある絵柄はだいたい単色刷りです。もちろんかつてのバナナ・リパブリックのようにフルカラーを売りにしたTシャツもありますが、さて……今さらバナナ…でもないでしょう?

地を選ばないシルクスクリーン

ココまで読んで「じゃあ、単色でアイロンプリントにすればいいじゃん」
という意見もあるかと思いますが、それは確かにアリですね。
しかし、熱転写紙の決定的な欠点は白地にしか正しい色をプリント出来ないということがあって、薄い黄色程度なら、なんとか黒等のプリントは出来ますが、ネイビーに白抜きのロゴなんて夢のまた夢の話。
結局、紙が白という前提のプリンターを使うところで、すでに制限があるのです。

シルクスクリーンでは、不透明インクという、インクそのものが透けてないものを主に使うので、黒地には白や、黄色、オレンジ、……と、好きに選べばいいだけの話。もしプリンターのインク「C・M・Y・K」以外にW(ホワイト)が追加されたなら、筆者はシルクスクリーンを辞めてそのプリンターを買いましょう。

ともあれ、両者、一長一短ありますから、場に応じて使い分けたり、組み合わせたりするのが現実的ですし、自前のすばらしい山の写真をTシャツにしたい、というのであれば、もちろんアイロンプリントをお奨めします。
アイロンプリントは白いカップにも貼れたりするので、知っておいて損はしません。
筆者もやりますが、やり方を知らないと言う人はCannonのこのページに丁寧に解説があります。

シルクスクリーンは印刷

シルクスクリーンはTシャツのプリントだけの技法ではありません。
シルクスクリーンは時に大げさな額縁を纏って、高価な絵画になってるものもありますが、要は版画やリトグラフと同じような印刷に近いものです。
ですから、図柄のデザイン、製版、印刷という一連の工程は、絵を描くというより、組立のような要素がほとんどで、そこには理論と計算が緻密に働きます。

版画の発展した形が本や雑誌の印刷で使う輪転機ですが、シルクスクリーンは平面なものなら何でも印刷出来るという特徴から、看板や、ダンボール等のプリント、プラスチックや、金属等の面へのプリント、衣料用生地へのプリント、そう、エルメスのスカーフもシルクスクリーンです。

つまり、インクに綿布用を使えば、Tシャツにもプリントできるというただそれだけの事で、汎用性の高い技法なんですね。
そういえば地球にプリントした豪快な芸術家もいました。
そこまではしなくても、アイディア次第では、いろんな事が出来るのがシルクスクリーンです。
図柄のモチーフは身の回りに無数に転がってます。
少し台所等が汚れますが、イメージ通りに完成したときは、なかなか、代え難い嬉しさがあります。

興味のある方は、今からでも無地のTシャツがいろいろ揃っている所にアタリをつけておいて下さい。ウォーホルな気分を約束します。


●透明インクと不透明インクの違いは、セロハンと色紙の違いかな
●…そう、Andy Warholも看板屋だったんだよねえ。



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